育成就労制度は、令和9年(2027年)4月1日から運用が始まります(出入国在留管理庁「育成就労制度の概要」)。この制度では、技能実習と違い、就労の前後で日本語能力を段階的に高めることが制度の柱の一つになっています。
この記事では、公表されている一次情報をもとに、日本語要件の全体像を整理します。
結論:日本語要件は「3つの節目」で考える
出入国在留管理庁の概要資料では、日本語の節目は次のように示されています。
| 節目 | 求められる日本語能力 |
|---|---|
| 就労開始前 | A1相当以上の試験(JFT-Basic、JLPT N5等)に合格、またはそれに相当する日本語講習を受講 |
| 本人意向による転籍 | 条件の一つとして、A2.1相当以上の試験(JFT-Basic)に合格 |
| 特定技能1号への移行 | A2.2相当以上の試験(JFT-Basic、JLPT N4等)に合格 |
なお、特定技能2号へ移行する段階では、B1相当以上(JLPT N3等)が示されています(厚生労働省資料)。
「A2が必須」と言われる理由
基本方針では、育成就労を終了するまでに「日本語教育の参照枠A2相当以上」を基本とし、分野ごとに業務上必要な水準を満たす日本語能力が求められるとされています。運用要領でも、育成就労計画の目標として「生活に必要な日本語能力」と「従事させる業務に必要な日本語能力」を、試験によって証明することが示されています(原則としてA2相当)。
つまり、入口はA1、出口はA2という設計です。
受入れ企業(育成就労実施者)に求められること
運用要領のポイント資料によると、実施者には次のことが求められます。
- 日本語能力の試験は、分野別運用方針に記載された試験から選ぶ
- 育成就労の開始から1年以内に、一定水準の試験を受験させる
- 3年が終わるまでに、該当する試験を受験させる
- 就労開始前までに、A1試験の合格またはA1相当講習の受講を確保する
- 目標の日本語能力の試験を受験させるまでの間に、A2目標講習を受講できる機会を提供する
講習の提供は実施者の義務で、費用の負担も必要です。詳しくは日本語講習の費用は誰が負担する?で解説しています。
A1が「入国の条件」になるわけではない
入管庁のQ&Aでは、A1相当の試験合格は入国の条件ではなく、試験に合格するか、入国後に講習を受講するかで対応できるとされています。就労開始前の要件を満たす方法は、試験と講習の二つがあります。
分野によって水準が上乗せされる
基本はA1・A2ですが、分野別運用方針で分野ごとに水準が定められます。たとえば介護分野では、運用方針に就労開始前からA2.2相当以上の水準が記載されています。詳しくは分野別で日本語水準はどう違う?をご覧ください。
自社が受け入れる分野の運用方針は、必ず原文で確認してください。
確認できていない点・注意
- 運用要領は改正されることがあります。最新版は入管庁のページで確認してください。
- 日本語講習のモデルカリキュラム(A1相当講習・A2目標講習)は「令和8年度中に公表予定」とされています。公表され次第、当サイトも更新します。
- 本記事は一次情報の整理であり、個別の申請や認定の判断を示すものではありません。
一次情報(出典)
- 育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)/出入国在留管理庁
- 育成就労制度の関係省令等について/出入国在留管理庁
- 育成就労制度Q&A/出入国在留管理庁
- 育成就労制度 運用要領/出入国在留管理庁
- 運用要領のポイント/出入国在留管理庁
- 育成就労の基本方針/厚生労働省
この記事は令和8年10月5日時点の情報にもとづきます。
本記事は公表資料の整理であり、個別の申請・認定・法的判断を示すものではありません。最新の内容は、各記事末尾の一次情報でご確認ください。